2015/06/13 のワークショップのレポート。
妖怪とは?
コミュニケーションの問題
多くのプロジェクトではコミュニケーションの問題が内在している。 このとき、コミュニケーションの問題を理解し、問題を解決する糸口が分からない。時には精神論になり、具体的なアプローチが困難になったりする。 その結果、プロジェクトや現場のQCDが悪化し、大きな問題になることがある。 この身近にあるコミュニケーションの問題を「妖怪」として見つける。
妖怪のしくみがもたらすこと
- 問題を妖怪のせいにして主体性を確保する
- 不明な事象を妖怪にして安心と勇気を得る
- 妖怪は、乗り移り、場を作り出す
- 問題(妖怪)は善意によって発生する。妖怪を友達にしてバランスを修正する。
- 妖怪による健全なコミュニケーション
ただし、距離感を忘れると、妖怪に乗っ取られる。
妖怪の見つけ方
現場によくいる妖怪の一部
- ナワバリン 「僕の仕事じゃありません」
- タライマワシ 「これよろしく~」
- クチダケ 「これはね~」
- シッタカブリ 「それ知ってる」
- シジマチ 「どうやってやればいいんですか」
- ダマリン 会議中は黙っていて、後で話しだす
ゾンビ
ゾンビとは「健全なコミュニケーションが取れず学習が停止した状態」
- 自由で活発に意見が言えない
- 萎縮してしまう
- 大したことがないと思ってしまう
その結果、 - 創造性や自主性の芽が摘まれる/損なわれる - 自己組織化が困難になる
ゾンビの種類
- 否定されたと感じる
- 途中で投げだし
- イエスマン、意見が言えない
- 覇気がない
- ため息
人をゾンビにさせるアクション
- 「知らなくていいんだよ」
- 話を聞かない
- (不適切な)マサカリ
- 見下した態度
- 攻撃的な態度
- 信じる(意味の支配)
- 参加意識の欠如
- 矛盾したメッセージ(その時々で言うことが変わる。ダブルバインド)
- 価値観の強制、相手の束縛が根底にある
ゾンビに魂を入れるためには
- 自我状態を分析し、適切な反応を返す
- 相手の状態により、情報を与える/得る
- 問題解決せず、その状況を味わう
- 矛盾しないメッセージを投げる(ダブルバインドの解消)
- 自信や自尊心などを貯金する良い反応やフィードバックを与える(ストローク)
ストローク
ストロークの語原は「なでる」こと。
ある行動に対してストロークを与える(注目する)と、その行動の継続が促される。
ある行動を無視すると、その行動の消失が促される。
行動に対する肯定的なストローク(条件付)
もらうためには「何かをする」必要があるので、「条件付ストローク」と言われる
- 具体的なほうがよい
- 本当の事を言う(お世辞や適当にほめるのは×)
- ストロークを与えるタイミングは、
- 気づいたらすぐやる
- 相手がよい方向に向かっているときにやる(完璧にできるまで待たない)
行動に対する建設的な否定的ストローク
普段からの信頼関係が大事。信頼関係のない人に言われても反感買うだけ。 伝えるときは肯定的なストロークでサンドイッチにして伝えるとよい。
ゾンビは、ポジティブな言葉掛けをしても吸い取ってしまう。
でも、あきらめずに続けることが大切。
自分で「ゾンビ状態」であることを選択することもある。
(ex.よく分からないけどとりあえず従っておこう、とか)
このとき、ゾンビ状態であることを、自分で「選択した」と思っていることが重要。
でないと本当にゾンビになる。
妖怪への対応
相手(妖怪)の望みは何か?
- 相手の立場について想像してみる
- 妥当なこと(基本的に良いこと)は何だろう?
- 発生した問題や迷惑ではなく、相手の迷惑に着目する
なぜ問題(妖怪)は起こるのか?
問題には理由がある。問題を起こす人は悪いことをしたいと思っているわけではない。
妖怪は善意によって発生する。
妖怪とうまくつきあう。
「自分が悪い」「誰々が悪い」ではなく、妖怪のせいにして、解決策を考える。
自己悪化(自分が悪い)では解決しない。
自分で妖怪を見つける事が重要。
ワークショップでやったこと
- 相手(妖怪)に向かって不満を言う
- 第三者的に、自分が妖怪に対する不満を言っている姿を観察する
- 妖怪の立場になって、不満を言っている自分を眺める
ワークショップでやったこと2
妖怪に対して、どんな妖怪をぶつければ仲間にできるか考える。 (「退治する」のではなく「仲間にする」がポイント)
感想
後から思い返しても、色々と考えさせられることが多い勉強会だった。 箇条書きで感想。
- 難しい問題に当たるとどうすればよいか分からなくなることがよくあるが、「自分」で妖怪(対処するべき問題の原因)を見つけて対処するためのフレームワークとしてよく出来てると思う。
- 問題を「妖怪」とすることで、相手の人格攻撃にならずに済む。 対処するべき相手を人ではなく妖怪とすることで、「なんでこの人は自分の思い通りに動いてくれないのか」という気持ちを抑止することができる。
- 「事実と感情は分けて考える」は大事。 妖怪の大半は問題そのものではなく、ある事象に対する自分の感情が発生させてると思う。
- 妖怪を「仲間にする」という考えも面白い。 人は皆何かしらの妖怪(個性)を持ってるので、別の妖怪(人)をぶつけて、その妖怪を友達にする(自分の力にする)ことができる。
- 映画のキャラクターを何かのメタファーとして見るというのは面白かった。
キョンシー(ゾンビ)と導師(人をゾンビ化させて自分の思いのままに操る人)という話は納得した。相手の意見をことごとく否定して自分の思い通りに相手を動かす人とか見たことある。 (今の若い人はキョンシー知らないだろうな。。)
当日のTogetter
#DevSen 「見立て」でコミュニケーション問題解決を探るワークショップ 2015年6月13日 - Togetterまとめ